改正社会福祉法セミナーレジュメ

1.はじめに

日本国憲法25条2項

「国はすべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」社会福祉事業は,本来,国の責務であるが,戦前から実績のある民間の社会事業家を抜きにして,国が独自に社会福祉事業を展開することには限界があった。

しかし,民間の社会事業家の側も,戦争によって大きな打撃を受け,国の支援なしには社会福祉事業を維持,発展させることは不可能であった。

 

日本国憲法89条

「公金その他の公の財産は,宗教上の組織若しくは団体の使用,便益,若しくは維持のため,又は公の支配に属しない慈善,教育若しくは博愛の事業に対し,これを支出し,又は,その利用に供してはならない。」公の支配に属する団体として,1951年制定の社会福祉事業法(社会福祉法の前身)によって創設されたのが社会福祉法人。

社会福祉事業を担う責務はあくまでも行政としつつ,社会福祉事業の実施を民間に委ね,社会福祉事業の公益性を担保する方策として,行政がサービスの対象者と内容を決定し,その方針に従って事業を実施する仕組みが形成された。(措置制度)

社会福祉法人は,行政から措置事業を受託し,社会福祉事業を展開し,行政からの補助金や税制の優遇措置を受ける一方,行政の画一的な指導監督を受けてきた。

社会福祉法人は,措置制度の中で,社会福祉施設の経営を通じ,社会福祉の発展に多大な寄与をし,わが国においてなくてはならない存在になった。

 

2.社会福祉法人改革の狙い

表向きは,一部の社会福祉法人の不祥事,内部留保,同族支配が理由。しかし,本当の狙いはそこにはなく,社会福祉も,他の社会保障と同様に,「自助」「共助」「公助」の原則が貫徹されるものとし,「自助」「共助」が優先し,「公助」は最後の方策だとの考え方があるように思われる。

国や地方公共団体の財政改革の一環として今回の社会福祉法の改正があったのではないかと思われる。そうはいっても,今回の改正を前向きにとらえ,組織を近代化し,経営を透明化し,福祉サービスの充実を図り,地域の住民から益々信頼されることが,社会福祉法人の発展になるものと確信する。

 

3.社会福祉サービスの環境の変化

1955年から1960年代の高度経済成長を背景に,社会福祉制度も充実し,専門分化が進む。

法的にも,生活保護法,児童福祉法,身体障害者福祉法に加え,知的障害者福祉法,老人福祉法,母子及び寡婦福祉法が制定された。

1970年代から1980年代になると,少子高齢化,女性の社会進出,地域社会の変容に伴い,「高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」,「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」,「障害者プラン~ノーマライゼーション7か年戦略」が国の政策として出され,福祉サービスも多様化し,社会福祉法人の数も増加していった。福祉サービスの利用者も,生活困窮者ばかりでなく,一般の国民に広がっていった。

2000年に介護保険法や社会福祉事業法が改正され,社会福祉法が成立すると,福祉サービス分野に株式会社等が参入し,福祉サービスの仕組が,措置から契約に転換した。

利用者と福祉サービス提供者との契約となると,そこには競争が発生する。社会福祉サービスは,本来,競争原理,市場原理には馴染まないが,自主的な福祉サービスの向上,経営の効率化・安定化が社会福祉法人にも要求され,その名のもとに,行政による公的責任が半ば放棄され,社会福祉法人の負担が強化された。

社会福祉法人と株式会社等の営利法人の事業性の競争条件を平等化するというような,「イコールフッティング」の議論が登場。株式会社の行う介護や保育には,補助金を支出したり,法人税を免除することはできないのであるから,社会福祉法人の行う同種の福祉サービスにも財政上の援助をするのはいかがなものか,等の乱暴な議論。

 

 

4.2015年2月12日の「社会保障審議会福祉部分報告書」の登場

(1)報告書の内容その1 社会福祉法人の公益性・非営利性の徹底

社会福祉法人は,公益財団法人等と同等以上の公益性・非営利性を確保すべきである。

介護事業や訪問看護事業は,民間営利企業も参入しているが,これらの事業が公益目的事業と判断される基準は,採算割れする等の理由で,通常の民間営利企業が提供しない介護サービスを,社会福祉法人が提供するなど,各社会福祉法人が行う事業の特徴をみた上,個別的に判断されるもの。

 

(2)報告書の内容その2 国民に対する説明責任

社会福祉法人の公益性・非営利性を担保する観点から,経営組織の強化,運営の透明性,財務規律の確立を図り,社会福祉法人のあるべき姿について,国民に対する説明責任を果たすための制度改革が急務である。

 

(3)報告書の内容その3 地域社会への貢献

社会福祉法人は,他の事業主体では対応できない様々な福祉ニーズを充足することにより,地域社会に貢献するという使命を自己の責務として明らかにしていく必要がある。

 

(4)報告書の内容その4 経営組織のあり方の見直し

社会福祉法人の不適正な運営を排除するために,公益財団・財団法人の改革を見習い,役員等の権限・責務,責任の明確化を図り,評議員会による理事等への牽制,外部の専門家・専門機関を活用した会計監査人の監査の強化によるガバナンスの強化を図るべきである。

 

(5)報告書の内容その5 運営の透明性の確保

社会福祉法人は,高い公益性と非営利性を備えた法人であり,情報開示に取り組み,国民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

 

(6)報告書の内容その6 内部留保の明確化と福祉サービスの再投下

内部留保の実態を明らかにし,現在の事業継続に必要な財産以外に活用できる財産を保有している場合には,社会福祉法人の趣旨,目的に従い,これを計画的に福祉サービスに再投下し,地域に還元することが求められる。

 

5.社会福祉法の主な改正点

(1)経営組織のガバナンス(内部統治)の強化

①全体のイメージ図

①.png

 

・理事,理事長に対する牽制機能の強化

 

②評議員,評議員会(法36条1項)

②評議員,評議員会(法36条1項)

従来の社会福祉法人審査基準は,一部の法人(措置事業,保育所,介護保険事業のみを行う法人)を除いて,評議員会の設置を求めていたが,諮問機関であり,社会福祉法人の業務の決定にあたり,重要な事項について,あらかじめ意見を聞かなければならないとされていたが,それで足り,評議員会は,牽制機能を十分に発揮していなかった。

 

改正後は,評議員会を社会福祉法人運営に係る重要事項の議決機関として,又,役員(理事,監事)の選任,解任の機能を持たせるなどした。

評議員会は必置であり,その権限は絶大で,ここに良識のある人を入れないと,社会福祉法人の運営が困難になることもある。

 

評議員の資格

社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者とされ,社会福祉法人において,適正な手続きを経て選任されれば,特段の制限はないと厚生労働省も述べている。(法39条)

 

人数

従来の評議員は,理事の定数(6名以上)の2倍を超える数とされていたが,改正法は,理事の員数(法44条によって,6名以上)を超える数,すなわち7名以上としている。(法40条3項)

経過措置があり,厚生労働省は,2015年度収益が4億円以下の社会福祉法人を対象とし,2017年4月1日から3年間は4名以上を予定しているという。

従来は,評議員と理事との兼務が可能であったが,改正法は不可としている。

 

親族等特殊関係等の制限

①評議員は,法人の役員(理事・監事)またはその職員を兼ねることができない。(法40条2項)

② 評議員の数は,定数で定めた理事の員数を超える数でなければならない。(法40条3項)

③ 評議員のうち,各評議員について,その配偶者または三親等内の親族その他厚生労働省令で定める特殊の関係があるものが含まれてはならない。(法40条4項)

④ 評議員のうち,各役員について,その配偶者または三親等内の親族その他厚生労働省令で定める特殊の関係があるものが含まれてはならない。(法40条5項)

 

社会福祉法人運営に係る重要事項の議決機関

社会福祉法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り,決議することができる(法45条の8, 2項)

決議事項

  • 理事・監事・会計監査人の選任及び解任
  • 理事等の責任の免除(一部・全部)
  • 理事・監事の報酬等の決議
  • 役員報酬等基準の承認
  • 計算書類の承認
  • 定款の変更
  • 解散の決議
  • 合併の承認
  • 社会福祉充実計画の承認
  • 評議員会に出席困難な場合

※代理人による議決権行使は不可

※書面投票・電子投票は不可

※テレビ会議・電話会議での評議員会開催は可

 

理事が評議員会の目的である事項について提案をした場合,当該提案につき評議員の全員が,書面又は電磁的方法(メール等)により,同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされる。
 

評議員の刑事責任

特別背任罪(法130条の2,1項)

贈収賄罪(法130条の3)

刑法の業務上横領罪,詐欺罪

 

③ 理事・理事長・理事会(法36条1項)

理事

社会福祉法人の必置期間である理事会の構成員で社会福祉法人との間は委任契約の関係にある。(法38条)

理事は,6名以上の理事からなる理事会に出席し,理事会において業務執行の意思決定を行う。(法44条3項、45条の13,2項)

具体的な業務執行は,理事長又は業務執行理事が行い,その他の理事は理事会に出席し,適切に議決権を行使し,互いに理事の職務を監督する義務がある。

 

理事会

すべての理事で構成され,社会福祉法人の業務執行の決定,各 理事の職務の執行の監督及び理事長の選定,解職を行う合議体の必置機関

 

決議事項(法45条の13等)

  • 理事長及び業務執行理事の選定及び解職
  • 評議員会の日時及び場所並びに議題・議案の決定
  • 重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財
  • 重要な役割を担う職員の選任及び解任
  • 従たる事務所その他の重要な組織の設置,変更及び廃止
  • コンプライアンス(法令順守等)の体制の整備(一定規模以上の法人のみ)
  • 計算書類及び事業報告等の承認
  • その他の重要な業務執行の決定等

理事の資格

理事は評議員会の決議によって選任されるので,他機関が選任することは不可。

しかし,理事会が理事候補者名簿を作成して評議員に提供することは可。但し,この場合でも評議員は事実上名簿どおり選任するよう強要することは評議員会の選任権を侵害することになり不可。

改正法は,理事の内には次に掲げる者が含まれていなければならないとする(法44条4項)

社会福祉事業の経営に関する識見を有する者(同項1号)

当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者(同項2号)

当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては,当該施設の管理者(同項3号)

人数6名以上(法44条3項)

 

親族等特殊関係者の制限

理事のうちには,各理事について,その配偶者もしくは三親等以内の親族その他理事と厚生労働省令で定める特殊の関係にある者が3人を超えて含まれ,または,当該理事ならびにその配偶者および三親等以内の親族その他各理事と厚生労働省令で定める特殊の関係があるものが理事の総数の3分の1を超えて含まれることになってはならない。

理事は社会福祉法人の職員を兼務することが禁止されていない。

理事の職務

善管注意義務

理事と社会福祉法人の関係は委任契約

忠実義務

社会福祉法人のために忠実に職務を行うという義務

競業避止義務

理事は,自己又は第三者のために当該社会福祉法人の行っている義務と類似の事業(競業取引)をしようとする場合は,理事会の承認を得なければならない。

 

利益相反取引の制限

理事は,自己または第三者のために当該社会福祉法人と取引しようとするとき,または,当該社会福祉法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において当該社会福祉法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするときは,理事会において,当該取引についての重要な事実を開示し,その承認を受けなければならないという利益相反取引に関する義務を負っている。

 

理事の報告義務

理事は,社会福祉法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは,直ちに,当該事実を監事に報告しなければならない。

 

理事の説明義務

理事は,評議員会において,評議員から特定の事項について説明を求められた場合は,当該事項について必要な説明をしなければならない。

但し,当該事項が評議員会の目的である事項に関しないものである場合その他正当な理由がある場合として厚生労働省令で定める場合はこの限りでない。

 

理事長および業務執行理事の理事会への報告義務

理事長および業務執行理事は,3か月に1回以上,自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。

但し,定款で,毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は,この限りでない。

理事会に出席困難な場合

  • 代理人による議決権行使は不可
  • 書面投票や電子投票は不可
  • テレビ会議,電話会議での理事会開催は可

理事が理事会の目的である事項について提案をした場合に,当該提案につき理事の全員が書面または電磁的方法(メール等)により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

 

理事の刑事責任

特別背任罪(法130条の2,1項)

贈収賄罪(法130条の3)

刑法の業務上横領罪,詐欺罪

 

④監事(法36条1項)

監事の選任は評議員会の権限(法43条1項)

監事の人数は2人以上で,この中には「社会福祉事業について識見を有する者」,「財務管理について識見を有する者」が含まれなければならない。(法44条5項)

役員の親族でないこと

監事は,評議員,理事,当該社会福祉法人の職員と兼務することは不可

監事の職務と権限

各会計年度に係る計算書類(貸借対照表,収支計算書)及び事業報告並びにこれらの附属明細書の監査。その後,理事会の承認を得るために,この結果を理事会に提出する。監事はいつでも理事や社会福祉法人の職員に対して事業の報告を求めたり,自ら社会福祉法人の業務や財産の状況の調査をすることができる。(法45条の18)

監事の義務

理事会への出席義務,評議員会での説明義務,評議員会への報告義務

理事の行為の差止め義務。

会計監査人の選任,解任,不再任への関与

 

⑤ 会計監査人

社会福祉法人は,定款の定めによって,会計監査人を置くことができる。

一定規模以上の社会福祉法人は会計監査人を置かなければならない。

収益が10億円以上の社会福祉法人,負債が20億円以上の社会福祉法人が予定されている。

会計監査人は,評議員会の決議によって選任される。

会計監査人は,公認会計士又は監査法人。

会計監査人は,評議員会の決議,もしくは,監事全員の同意によって解任することができる。

会計監査人は社会福祉法人の計算書類と附属明細書を監査し,会計監査報告書を作成する。

その他,財産目録等の書類も監査する。

会計監査人は,いつでも,会計帳簿又はこれに関する書類を閲覧及び謄写をし,理事及び社会福祉法人の職員に対し,会計に関する報告を求めることができる。

その他,その職務を行うために必要があるときは,社会福祉法人の業務及び財産の状況につき調査をすることができる。

 

(2)事業運営の透明性の向上

社会福祉法人の定款や財務諸表,現況報告書(役員報酬総額,役員等関係者との取引内容を含む),事業計画書,事業の概要書類を閲覧する規定を設け,一般に公表することを義務付けた。

定款の備置き,閲覧(法34条の2)

計算書類等の備置き,閲覧(法45条の32)

財産目録の備置き,閲覧(法45条の34)

情報の公開(法59条の2)

定款,報酬等の支給の基準

 

(3)財務規律の強化

①役員(理事・監事)報酬基準の作成と公表,役員等関係者への特別の利益供与を禁止

②いわゆる内部留保の明確化

・いわゆる内部留保というと,一般的には利益剰余金,つまり過去の収支差額(利益)の蓄積のことをいうが,事業に活用する土地,建物等の資産や,事業継続に必要な資産も含まれているため,内部留保があるからといって,ただちに余裕財産を保有しているわけではない。

・社会福祉法人は,公費等を原資とする介護報酬や措置委託費の収入により運営されており,法人税や固定資産税が賦課されていないため,改正法ではいわゆる内部留保の実態を明白にし,社会福祉に再投下が可能な内部留保があれば,それを「社会福祉充実残額」とした上で,国民に対する説明責任を果たすことが求められている。

・マスコミは,「特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人には,莫大な内部留保がある」と報じたが,厚生労働省は,委託調査で特養の7割が運営維持が困難,又は,維持するための資産しかないことを知っていた。

・ 社会貢献か課税かとの議論に厚生労働省も迎合し,社会福祉充実残額なる,あいまいな概念を考えだし,社会貢献の名で社会福祉法人により一層の負担を求めた。

・厚生労働省の発表しているイメージによると,いわゆる内部留保,すなわち「社会福祉充実残額」は次のとおりである。

 

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③ 社会福祉事業等に活用する「社会福祉充実計画」を作成すること。

④ 地域における公益的な取組みを実施する責務(法24条2項)

厚生労働省の考える地域公益活動のイメージは次のとおりである。

 

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格差拡大と共に増加する生活困窮者への支援は,社会福祉法人の慈善的,互助的な地域公益位活動で対応できるものではなく,本来ならば国の責務である。(憲法25条2項)

たとえ,努力義務であるとしても,社会福祉法 に地域公益活動の責務を盛り込むことは,今でも苦しい社会福祉法人の経営をさらに苦しめることになるのではないかという危惧がある。

厚生労働省は,地域公益活動の考え方について,次のとおり基本を示しているが,具体的には個々の社会福祉法人が考えるべきだとしている。

 

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(4) 役員等の民事責任

①評議員の責任

評議員が善管注意義務に違反し、社会福祉法人に損害を与えた場合、任務を怠ったものとして、社会福祉法人に対し、損害賠償責任を負うことになる。(法45条の20、1項)

悪意、重大な過失により任務を怠り、第三者に対して損害を与えた場合は、その第三者に対して損害賠償責任を負うことになる。(法45条の21,4項)

② 理事の責任

理事が善管注意義務に違反し、社会福祉法人に損害を与えた場合、任務を怠ったものとして、社会福祉法人に対し、損害賠償責任を負うことになる。(法45条の20、1項)

悪意、重大な過失により任務を怠り、第三者に対して損害を与えた場合は、その第三者に対して損害賠償責任を負うことになる。(法45条の21、1項)

さらに、理事が次に掲げる行為をしたときも、当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときを除いては、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(法45条の21、2項)

ア)計算書類および事業報告ならびにこれらの附属明細書に記載し、または記録すべき重要な事項についての虚偽の記載または記録

イ)虚偽の登記

ウ)虚偽の公告

 

③監事の責任

監事が善管注意義務に違反し、社会福祉法人に損害を与えた場合、任務を怠ったものとして、社会福祉法人に対し、損害賠償責任を負う。(法45条の20、1項)

悪意または重大な過失により任務を怠り、第三者に対して損害を与えた場合は、その第三者に対して損害賠償責任を負う。(法45条の21,1項)

監事が次に掲げる行為をしたときも、当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときを除いては、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(法45条の21、2項ニ)

ア)監査報告に記載し、または記録すべき重要な事項についての虚偽の記載または記録

 

④会計監査人の責任

会計監査人が善管注意義務に違反し、社会福祉法人に損害を与えた場合、任務を怠ったものとして、社会福祉法人に対し、損害賠償責任を負う。(法45条の20,1項)

悪意または重大な過失により任務を怠り、第三者に対して損害を与えた場合は、その第三者に対して損害賠償責任を負う。(法45条の21,1項)

会計監査人が次に掲げる行為をしたときも、当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときを除いては、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。(法45条の21,2項三)

ア)会計監査報告に記載し、または記録すべき重要な事項についての虚偽の記載または記録

 

⑤上記の各人の損害賠償責任を軽減する方法

ア総評議員の同意による全額の免除

総評議員の同意があれば、各人の方に対する損害賠償責任は免除される。

イ評議員会の決議による一部免除

各人が職務を行うにつき善意で、かつ、評議員会の決議によって一部が免除される。この場合の決議は、議決に加わることができる評議員の過半数が出席し、議決に加わることができる評議員の3分の2以上の賛成が必要である。(特別決議)この評議員会において、理事は次に掲げる事項を開示しなければならない。(法45条の9、7、7項二)

ア責任の原因となった事実および賠償の責任を負う額

イ前項の規定により免除することができる額の限度およびその算定の根拠

ウ責任を免除すべき理由および免除額

また、各人が最低限支払わなければならない額(最低責任限度額といいます。)は、各人の立場に応じて次のとおりとなる。(法45条の9、7項、法113条1項)

 

各人がその在職中に社会福祉法人から職務執行の対価として受け、または受けるべき財産上の利益の1年間当たりの額に相当する額として厚生労働省令で定める方法により算定される額に、次のアからウまでに掲げる区分に応じ、当該アからウまでに定める数を乗じて得た額

ア)理事長 6(端的にいうと、年間報酬額の6年分)

イ) 理事長以外の理事であって、次に掲げるもの 4(端的にいうと、年間報酬額の4年分)

  ア理事会の決議によって社会福祉法人の業務を執行する理事として選定された者

  イ当該社会福祉法人の業務を執行した理事(㋐に掲げる理事を除く)

ウ) 理事(アおよびイに掲げるものを除く)、監事または会計監査人 2(端的にいうと、年間報酬額の2年分)

  ウ定款の定めに基づく理事会の決議による一部免除

定款であらかじめ定めることで、理事会の決議による一部免除が可能である。

 

具体的には、各人が職務を行うにつき善意で、かつ、重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該各人の職務の執行の状況、その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、賠償責任を負う額から上記イの最低責任限度額を控除した額を限度として、理事会の決議によって免除することができる旨を定款で定めることができる。

 

  エ 責任限定契約

非業務執行理事(理事長、理事会決議により業務執行理事として選定された者、業務を執行したその他の理事および使用人でない理事)、監事または会計監査人の場合、当該非業務執行理事等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ社会福祉法人が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行理事等と締結することができる旨を定款で定めることができる。

 

6.社会福祉法改正によって,社会福祉法人の組織をどのように変えたらよいか。

・今回の社会福祉法改正は,社会福祉法人にとって厳しいものがあるが,まず,社会福祉法人設立時の理念がどのようなものであったかを確認することが大切。

 

・その上で,この理念を共有することができると思われる評議員を探す必要がある。頭数をそろえれば誰でもよいというわけではない。

 

・厚生労働省の指導でも,既存の理事会による評議員選定委員会の設置を認め,評議員候補者の推薦を認めているので,まず,社会福祉法人運営に絶大な権限を有する評議員に適切な人物を得なければならない。

 

・評議員が,見識のない人物もしくは野心のある人物であると,社会福祉法人運営が混乱することになる。

 

・評議員を,ただ単なる名誉職と考えるのではなく,社会福祉法人にとって,適切な意見を述べてくれる人物を探すべき。

 

・理事は,評議員会によって選任されるが,既存の理事が,社会福祉法人の理念を再確認し,選任されることが望ましいし,それが現実的である。

 

・社会福祉法人の目的は,児童,高齢者,障害者,生活困窮者,その他の社会的弱者に,人間の尊厳を大事にする福祉サービスがなされることであるので,このような志を有する,心優しき者が集まって,組織を運営すれば,従来の組織を,改正法の趣旨に沿った内容に変えることで十分だと思われる。

 

・厚生労働省は,2025年に向かって,社会福祉法人の淘汰・合併を狙い,社会福祉法人の数を減少させようとしているが,組織を透明化し,社会福祉法人の理念に沿い,地域の人々の福祉充実のために尽力するという姿勢があれば,大,中,小を問わず,どんな社会福祉法人でも生き延びることができる。

 

・地域の人々は,そのような社会福祉法人を求めている。

 

7.改正社会福祉法の趣旨に基づいた人材をどのように確保するのか。

・まず,社会福祉法人に余裕資金があれば,保育・介護等に従事する職員の賃金を大幅に上げ,職員の善意にのみ頼らないことが必要だ。

 

・社会福祉法39条は,「評議員は,社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから,定款の定めるところにより選任する。」と規定されているが,厚生労働省は,社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する人材例を,下記のとおり述べる。

 

社会福祉事業や学校など,その他の公益的な事業の経営者,大学教員,弁護士,公認会計士,税理士,民生委員,児童委員,社会福祉法人職員OB,地域の経済団体が適切な者として推薦する者などがあげられているが,勿論これに拘束される必要はない。

 

これから,静岡県や市町,各地の社会福祉協議会も相談に乗ってくれるが,なるべく当該社会福祉法人の理念に共鳴し,心優しき人を自ら探した方がベターだ。

 

厚生労働省も,識見を有する者については,社会福祉法人において,「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」として,適正な手続により選任されている限り,制限を  受けるものではないとして,各社会福祉法人の独自性を認めている。

 

・仮に,2017年3月31日までに,評議員が選任されていなくても,各自治体や社会福祉協議会が評議員確保にための支援を行うとしている。

 

・当事務所も,社会福祉経営に理解があり,福祉サービスの利用者である児童,高齢者,障害者の人権を尊重する学者,弁護士を多数知っているので,適切な評議員候補を推薦することが可能である。

 

8.最後に

・我が国の社会福祉の根幹を担うのは,皆様方である。

 

・利潤追求ではなく,福祉サービス利用者に対し,いつでも,どこでも,必要な時に必要な支えをするという気概があれば,厳しい改革にも打ち勝つことができる。

 

・皆様方の益々のご活躍に期待する。

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