新着情報

外国人労働者の労働力を導入する前に考えること

わが国の現在の労働力不足は，少子化・高齢化によるものであることは明らかです。

　この２０年間に，生産年齢人口は１１００万人以上も減り，６５才以上の者は１５００万人以上も増えています。

　しかし，労働力不足の原因を，少子化・高齢化だけに求めることはできません。

　この２０年間というもの，特に，労働者派遣法が制定されてから，労働者の労働力の使い捨てが顕著になっています。

　表向きの失業は少なくなったものの，正規社員が減少し，１日８時間働いても，余裕を持って暮らしていくことができない社会が到来しています。

　私どもの事務所では，債務整理や自己破産，個人再生も多数取り扱っていますが，そのことを強く実感しています。

　多方面にわたり，高度に発達しているわが国では，８時間働けば普通の暮らしができる経済力を有していると思うのですが，現実にはそうなってはいません。

　多くの経済学者，法律学者，実務家から，労働者の低賃金，長時間労働が指摘され，最近では，政府からも，「働かせかた改革」が叫ばれています。

　１日８時間働いても生活できない者が存在すること，さらに，過重な労働に心身をすり減らす者が存在すること，そのために，そのような職場が敬遠され，結果的に労働力不足に陥る産業分野が存在することも明白になっています。

　こうした分野の企業では，労働力不足を，外国人労働者を雇用することで解決しようということになると思いますが，今日の外国人労働者の労働力の解禁にあたって，日本人労働者の労働条件以上のものにすることが，法律によって義務付けられていることに，使用者は思いを致すべきだと考えます。

　まず自らの企業の，日本人労働者に対する働かせ方を改革し，自社で働く社員を大切にし，その上で，外国人労働者を採用することが必要ではないでしょうか。

　外国人労働者も，日本人労働者と同じ人間です。

　日本人労働者が大変な仕事は，外国人労働者にとっても大変な仕事です。

　決して外国人労働者の労働力を使い捨てにしてはなりません。

　今行われている，ラグビーワールドカップの日本代表のメンバーと同じで，やがて多くの外国人が，日本の経済力を支えることになるかと思います。

　自社で働く社員を大切にし，同時に，営業成績を上げることができる企業が，グレートカンパニーと称されていますが，多くの企業がグレートカンパニーを目指して欲しいものです。

　当事務所はそのことに期待します。