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[第2回くらしと法律セミナー]男女をめぐる法律問題

弁護士 久保田和之
第2回 くらしと法律セミナー
2014年4月20日(日)
午後1時30分~3時0分
静岡交通ビル

第1 恋愛

1 別れた彼に、2万円、2万円・・・合計10万円貸しています。

恋愛中に、お金を貸して、別れても返してもらえない、という相談は良くあります。

金銭消費貸借契約は、「返還合意」と「金銭の交付」が成立要件となります。

「お金が無いので返せない」という場合、公正証書等(債務名義)を作っておくといいと考えます(強制執行ができる。)。

① 返済できる範囲での分割(期限の利益喪失条項を設けましょう)

② 返済できるようになったら、返済してもらう。

「借りていない。もらった。」という場合、「返還合意」が問題となっています。

本当に「もらった」と思っている場合、返還は困難です。

本当は「借りた」のに、返すのが嫌だから「もらった」と言っている場合、お金を貸す際に「借用書」を作っていないのが普通です。

そして、「もらった」と言っているので、この段階で「借用書」を作ってもらうのは困難です。

「録音」、「メール」で証拠化するのが有効な場合があります。脅迫等と言われないように、自然な会話、文言を残しておきましょう。

厳密には、何回かに分けての2万円の貸付けですが、合計10万円ということでも構いません(準消費貸借契約)。

 

2 「妊娠した」ことを告げたら、別れ話を切り出されました。

これも良くある話です。

出産するか、否かは、最終的には女性が決めます。

①中絶した場合

中絶費用を請求できるでしょうか。男性との約束(契約)によります。中絶まで時間的余裕がありませんが、男性が「出産を希望しない」のですから、話し合いで解決できると思います。

②出産する場合

出産費用を請求できるでしょうか。この場合も男性との約束(契約)によります。

男性に「認知」の請求ができます。

また、「認知」されれば「養育費」の請求もできます。

 

3 別れ話を切り出したら、「つきまとい」等のストーカー行為が始まってしまいました。

最近、テレビでも殺人にまで至ったケースが報道されていました。

平成12年11月から「ストーカー規制法」が施行されています。

まずは、警察署に相談してください。

警察が「教示」をしてくれます。

事案にもよりますが、次の段階として「警告」があります。

「警告」に従わない場合は、「禁止命令」が出ます。

警察が動いてくれない場合には、弁護士に相談し、「(警告の)通知」を出してもらうことも検討してください。

直接、接触するのは避けてください。

 

4 私の家で同棲を始めましたが、別れました。同棲中の食費、光熱費などを請求できますか。

まず、同棲を始めた際、同棲中の生活費について、どのような約束(契約)をしていたのかが問題になります。

①「月々生活費として3万円を負担する」という約束(契約)があれば、その未払い分を請求できます(「言った」「言わない」ということであれば書面(証拠)が必要です。)。実際に、長い間「生活費3万円」を受取っていないと、そのような約束がなかったということにもなりかねません。

②何の約束もない場合、不当利得返還請求も考えられます。しかし、彼が使った生活費(食費、光熱費)がいくらなのか(請求額)算出しなければなりません。あなたの「好意」ということになれば「法律上の原因」があることになり、請求はできません。

お金の問題は、きっちり取り決めておくべきです。それが決められないようなら、不満に思っている訳ですから、長くは続きません。

 

5 独身と思っていた彼が、実は既婚者でした。慰謝料は請求できますか。

①「独身」と明言していない場合、女性が男性の様子等から「独身」と思っていた場合です。

慰謝料は請求できません。

女性に落ち度があり(過失)、男性を「独身」と思い込んでいた場合、男性の妻から慰謝料を請求されることもあります。

②単に「独身」と明言していた場合も慰謝料請求は困難です。まだ、恋愛中だからです。ただし、彼の言葉を信じて「独身」と思っている訳ですから、男性の妻に対し慰謝料を支払う、必要はありません。

③単に「独身」と明言しているだけでなく、積極的に「結婚しよう(欺罔)」という約束(婚約)をしたような場合、女性には保護されるべき期待権が生じています。なお、「結婚しよう」という約束も「証明」するのが難しい場合があります。その際、親、友人などの証言、メール、録音等が「証拠」となります。

 

6 既婚男性と不倫しています。男性の妻から慰謝料を請求されました。

妻に対して、男性と共同不法行為が成立し、慰謝料を支払わなければなりません。不倫により、妻の平穏な生活を侵害したからです。

妻が慰謝料を請求できるのは、不倫行為時から20年間、不倫を知ってから3年間です。

また、男性と妻の婚姻関係が「破綻」していると認められる以降は、慰謝料は発生しません。「破綻」以降は、保護すべき「平穏な生活」がないと評価されます。

慰謝料の金額は、不倫期間、あなたと妻との関係、妻と男性が離婚に至ったか、などの事情が考慮されるので、一概には決められません。100万円~500万円が相場でしょうか。

 

第2 婚約

1 婚約しましたが、彼が別の女性と交際していたので、婚約を破棄しました。

婚約とは、お互いに「結婚しよう」という真面目な約束をすること、をいいます。

婚約の成否は、そのまま結婚してしまえば、問題になりません。問題になるのは婚約破棄の場合です。「婚約した。しない」の問題を避けるためにも、口約束だけでなく、婚約指輪の交換、婚約者として親族への紹介、結納などをしておくと婚約の証明になります。

なお、婚約は「結婚しようという約束」ですが、いざ、結婚しようという時に「気持ちが変わった。結婚は嫌。」となっても、結婚を法的に強制することはできません。結婚は、あくまで両当事者の「自由な意思」で成立するからです。

 

2 婚約し結納、婚約指輪を受け取りました。婚約を解消しましたが、これらは返す物なのですか。

結納等は「婚約の成立の証明」で、結婚の成立を目的とした「贈与」です。

婚約が解消されれば、「結婚が成立しなかった」ことになりますので、結納等は返還しなければなりません。

ただ、結婚して、すぐ、離婚した場合は返還する必要はありません。「結婚が成立」したからです。

また、結納等を渡した相手方の責任(別の女性と交際していた、暴力を振るう、など。)によって、婚約が解消された場合も返還する必要はありません。婚約解消(破談)の原因を作っておきながら、結納等の返還を求めるのは信義に反するからです。

 

3 婚約したので、勤め先を「寿退社」しましたが、彼から婚約破棄したいと言われました。次の仕事が見つかるまでの生活費を請求できますか。

婚約を機に職場を退職することは良くあり、女性にとって重要な問題です。後から再び仕事に就く場合、以前の仕事より条件が悪くなる可能性があるからです。

「寿退社」は、結納、婚約指輪の交換等と同様、「婚約の成立」を証明する事由になります。

婚約が成立し、それが破棄されても「慰謝料」「損害賠償」を必ずしも請求できる訳ではありません。婚約当事者の「合意で婚約破棄(解消)」になった場合には「慰謝料」等は請求できません。

不当に婚約が破棄された場合に、「慰謝料」が請求できます。

ところで、「次の仕事が見つかるまで生活費」ですが、男性から「婚約したので仕事をやめて欲しい。」と頼まれて、退職したような場合を除いて、原則として、生活費の請求はできないと考えます。「婚約の成立」と「職場の退職」との間に相当因果関係がないと考えられるからです。

 

第3 内縁

1 彼と5年間同棲しています。

一緒に暮らしている、とうだけでは「内縁」とは認められません。

「内縁」とは「婚姻届」を提出していないだけで、それ以外は「夫婦同然」といえるような男女関係です。

①お互いに夫婦だと認めている。②家計を共にし、継続的に共同生活を送っている。③結婚式を挙げている。④お互いに両親、親族に紹介している。⑤近所付き合いを夫婦として参加している。などが「内縁」では考慮されます。

「内縁」は「婚姻(夫婦)」に準じます。

したがって、解消の場合に財産分与、相互の貞操義務、解消の原因により慰謝料なども婚姻に準じて考えられます。ただ、相続は認められません。

 

2 内縁関係にある男性の間に、子どもが生まれました。

婚姻すれば、その子は「夫婦の子」になります(婚姻準正)。

婚姻しない場合、子は母親の戸籍に入り、母親が親権者となります。当然、子の苗字は「母親と同じ」です。

母親は男性(父親)に対し「認知」を請求できます。「認知」がなされれば、父子関係が認められます(認知準正)。ただし、親権者は「母親」です。

「認知」には、①任意認知(父親の意思)。②審判認知(合意)。③強制認知(裁判、DNA鑑定)、があります。

父親が「認知」をすると、養育費支払義務、相続等の権利が「子」に認められます。

従来、相続分について、「嫡出子」「非嫡出子」との間で、差別されていましたが、平成25年9月4日、最高裁判所の決定で、差別がなくなりました。

 

第4 結婚

1 未成年者との結婚に親が反対しています。

未成年者でも、男・満18歳、女・満16歳になれば婚姻できます(婚姻適齢)。

ただ、未成年者が婚姻するには父母の同意が必要です。

ただし、父母一方の同意があれば、婚姻は可能です。

父母共に未成年者の婚姻に反対している場合は、成人になるまで待つことになります。

 

2 離婚しましたが、いつでも再婚できますか。

男性の場合、いつでも再婚できます。

女性の場合、離婚した日から6ヶ月を経過しないと再婚できません(待婚期間)。

この「待婚期間」は、生まれた子が前婚の夫の子か、再婚の夫の子か、明確にするためです。そのため、①女性が離婚前から懐胎し出産した場合(733条2項)、②前夫との再婚、③失踪宣告を受け離婚した場合、④3年以上生死不明の離婚の場合(770条1項3号)、⑤67歳以上の場合などには「待婚期間」の制限はありません。

 

3 夫が死亡しました。私と夫の両親とはどのような関係になりますか。

婚姻は、配偶者の死亡により、終了します。他方、配偶者は再婚ができます。

婚姻により、「妻」と「夫の父母」とは「姻族」という関係になります。

「姻族」関係があると、父母の扶養義務に関して問題が生じる場合があります。

ただ、扶養義務は、まず父母の子(夫の兄弟)などにあります(877条)。亡夫が父母から多くの財産を贈与され、妻や子の生活を維持して余裕がある場合に限られるでしょう

姻族関係は、「離婚」の場合には終了しますが、「死亡」の場合には当然には終了しません。この場合、「姻族関係終了届」を市町に届け出ます。

 

4 夫と別居していますが、生活費に困っています。

婚姻費用の分担義務(760条)は、夫婦が別居している場合にも、離婚まではなくなりません。

夫婦の協議で、婚姻費用が決まらない場合は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、婚姻費用の分担の調停を申立てます。調停で話し合いがまとまらなければ、審判に移行します。裁判所が婚姻費用を決める場合には、夫婦相互の収入、資産その他一切の事情が考慮されますが、実際には、「算定表」が活用されています。

また、離婚調停を申立てる場合、同時に婚姻費用の分担の調停を申立てることがよくあります。離婚までに長時間を要することが予想される場合には、経済的負担を軽減できるからです。

 

第5 離婚の手続き

1 離婚の手続きはどうなっていますか。

離婚には、大きく分けて、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」があります。

最も大いのが「協議離婚」です。この「協議離婚」は夫婦の合意さえあれば成立します。

夫婦で離婚の協議ができない場合は「調停離婚」となります。いきなり「裁判離婚」はありません(調停前置主義)。調停委員会のあっせんで夫婦が合意すれば「調停離婚」が成立します。

調停でも合意ができなければ「裁判離婚」となります。

「協議離婚」「調停離婚」は「合意」が必要となりますが、「裁判離婚」では「合意」の代わりに「離婚原因」が必要となります。民法の定める離婚原因(破綻主義)は、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、回復し難い強度の精神病、⑤婚姻を継続しがたい重大に事由です。

ただ、「結婚」と違い「離婚」するには多大なエネルギー(日数、精神的苦痛)を必要とします。出来るだけ話し合いで解決した方がよいです。

 

2 夫が勝手に離婚届を出そうとしています。

離婚には、離婚届時に夫婦の離婚意思が必要です。

しかし、市町の戸籍係は、「離婚届」に不備がないか否かという、形式的審査しかしません。そのため、夫が勝手に「離婚届」を出すと、受理されてしまいます。

もちろん、夫が勝手に出した「離婚届」は「無効」です。

争う方法は、①調停申立、合意ができれば23条審判、②調停不成立であれば、裁判ということになります。

なかなか大変です。

夫が勝手に「離婚届」を出すことを防ぐために、市町に「離婚届の不受理申出」をしておくことができます。ただ、不受理期間は6ヶ月なので、この期間を過ぎても「離婚届」をだされるおそれがあれば、再び、「不受理申出」を出すことができます。

 

3 夫が蒸発して行方が分かりません。離婚するにはどうしたらいいですか。

この場合、「協議離婚」「調停離婚」はできません。夫の「合意」が得られないからです。

調停前置主義の例外として、すぐに「裁判離婚」をします。

普通、訴状が提出されると、裁判所は、相手方に「訴状」と「期日呼出状」を送ります(送達)。

しかし、行方不明の場合は「送達」ができません。

この場合は「公示送達」という手続きをとります。裁判所の掲示板に掲示して、2週間の経過で、「送達」したことにします。ただ、「公示送達の申立」をするには、住所が分からないことを証明しなければなりません。

「行方不明」が「3年以上の生死不明」であれば「離婚原因」があります。

また、離婚するには「失踪宣告」による方法があります。夫の生死不明状態が7年以上続いていれば、夫は死亡したものと認められます。ただ、「失踪宣告」の場合、後日、夫が現れると、失踪宣告は取り消され「重婚」の問題を生じることがあります。

 

第6 離婚原因

1 働かないでダラダラしている夫と離婚できますか。

裁判例では、夫の無為徒食、浪費といったことに加え、その経過、財産状態、家庭状況等の諸事情を総合的に判断して「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するか、婚姻生活の継続を強いることが酷な状態か、という判断になります。

 

2 性格の不一致で離婚できますか。

離婚の相談で、最も多いのが「性格の不一致」です。

夫婦といっても、その性格が違うのは当たり前ですし、その違いを理解して協力していくのが夫婦ですから、「性格の不一致」というだけでは「離婚原因」になりません。

ただ、「性格の不一致」が原因で、①「長期間の別居状態」が継続していて、夫婦関係が破綻している、②夫婦が協力、努力しても夫婦関係の回復を期待できない場合があります。このような要素が加われば、離婚も認められると考えられます。

 

3 夫の両親と仲が良くありませんが、夫と離婚できますか。

夫婦は、それぞれの両親とまったく無関係に生活している訳ではありません。特に、夫婦が一方の両親と同居していると、両親との折り合いが悪いと、それが夫婦関係にまで悪影響します。

妻が夫の両親と折り合いが悪い場合、夫は、妻と自分の両親の間に入って関係を修復するよう努力する義務があります。夫婦の協力義務です。にもかかわらず、夫がその努力を怠っていたり(放棄)、両親側に加担したりして、妻がこれ以上婚姻の継続を強いることが困難だという状況になれば、離婚が認められると考えられます。

 

第7 財産分与

1 夫が財産を隠しています。どうしたら良いですか。

財産分与は、夫婦が協力してつくった財産の精算です。

協力してつくった財産であれば、夫名義の預金も対象になります。

ところが、離婚の話になると、夫が妻に財産を分与することを嫌って、財産を隠してしまうことがあります。

また、給与の管理をすべて妻に任せておいて、離婚の際、預金がどこにあるのか分からないという夫もいます。妻に聞いても「生活費に使ってない。」と言われます。

このように、現実にどこに財産があるのか、その額はいくらなのか分からなくなってしまうと、財産分与を請求する側は不利な立場に置かれます。

①財産がどこにあるか「分かっている」場合には、保全処分ができます。

不動産の仮差押、処分禁止の仮処分、預金の仮差押などです。

②財産がどこにあるか「分からない」場合、この場合は難しいです。日頃から、相手方の財産(預金、株券、生命保険等)について、調べておくことが必要となる場合もあります。

 

2 年金分割とはどういうものですか。

離婚の際に、厚生年金、共済年金を分割することが認められました。

1階部分・・国民年金の基礎年金

2階部分・・この基礎年金に加算して支給される年金(厚生年金、共済年金)

2階部分の年金は、被保険者の給与額に比例するので、中高年齢者の離婚の場合、夫婦の年金受給額に大きな差が出てしまいます。

年金分割の対象は、この「2階部分」です。

日本年金機構から「年金情報の提供」を受けてください。

①夫婦の按分割合の合意ができた場合には、公正証書を作成する。

②夫婦で按分割合の合意ができない場合は、家庭裁判所へ調停の申立をする。

按分割合の実務の運用は、原則2分の1です。

この年金分割の請求は、離婚をした日の翌日から2年間経過すると請求できなくなります。

 

第8 子の問題

1 親権者、監護権者とは何ですか。

親権は、未成年者の子を一人前の社会人にするよう監護、養育するために親に与えられた義務です。

この親権は、大別すると「(身上)監護権」「財産管理権」に分けられます。

「(身上)監護権」は、子どもの養育・世話をする監護・教育権、懲戒権などです。

すなわち、「監護権」は「親権」の一部です。

離婚に際し、夫婦が別居していて、幼い子どもの親権者について争いが生じるような場合、「監護者の指定」を調停で申立てることがあります。親権で争っているので、「監護者の指定」をうければ親権者と認められやすいこと、それより、子どもの生活(精神状態)を安定させることができるからです。

 

2 親権者はどのように決められるのですか。

まず、離婚に際して、夫婦の協議で「親権者」を決めます。

夫婦の協議ができない場合は、離婚調停、離婚裁判の中で、「親権者」を決めます。

親権者は、子どもの利益、子どもの福祉という観点から決められます。

通常、次のような要素が考慮されます。

①父母の心身状況・・情緒不安定、性格異常等

②父母自身の監護をなす条件・・父母の生活環境、子に対する愛情

③子どもの年齢・・10歳くらいまでは母親とするのが子どもの幸せ

④子どもの意思・・15歳以上は子どもの意見を聞かなければならない。10歳以上でも子どもの意思は尊重される。

⑤監護の現状・・一方の親元で養育されている場合、生活環境の変化は子どもの福祉にとって好ましくない。

⑥複数の子・・幼い兄弟姉妹は分離すべきではない。兄弟姉妹が互いに得る経験が人格形成の上で何者にも代え難い。

⑦父母の経済状況・・あまり重視されない

⑧離婚についての有責性・・父母が甲乙つけがたい場合、マイナス評価されることがあります。

 

3 親権者の変更は認められますか。

親権者の変更は認められます。

親権者を決めた後、その親権者が子どもの福祉にとって好ましくなかったり、何らかの事情の変更があったりした場合、親権者を変更する必要があるからです。

ただ、必ず、家庭裁判所の調停手続きをとらなければなりません。

基準は、子どもの利益、福祉に適合しているか、です。

原則は、親権者の決定基準と同様です。

 

4 養育費は、いつまで、いくらもらえるのですか。

離婚に際して、親権者とならなかった親も子どもとの間では親子関係はあります。親が未成年の子どもを扶養する義務は、親権者が誰かとは無関係に、両親が応分に負担しなければなりません。

①いつまでか

養育費は扶養義務ですから、子どもが自活できるようになるまで(扶養がいらなくなるまで)ということになります。実務的には、①18歳、②高校卒業、③成人、④大学卒業の4つがあります。最も多いのが③成人です。

②いくらか

原則は、両親の協議できまります。

協議が就かない時は、実務では「算定表」が用いられることが多くあります。

 

5 養育費の増額、減額は認められますか。

養育費の増額、減額は、容易に認められません。いったん約束したことを後になった簡単に変更されたのでは無意味だからです。

次のような「客観的な事情の変更」がある場合に限り増額、減額が認められます。

①物価の変動

②子どもの進学による教育費の増加、子どもの事故による思わぬ出費

③一方の親の収入の思わぬ減少、大幅な増加

④一方の親の再婚、再婚による子どもの出生

手続き的には、両親の合意(協議)で決めることが出来ます。

協議が出来ない場合は、家庭裁判所へ「監護費用の分担の調停」を申立てることになります。

また、子ども自身が申立権者になることも出来ます。親権者が離婚の際、「養育費はいらない(放棄)」と決めてしまったような場合、この方法が効果的です。

 

6 面接交渉権とはどのようなものですか。

親が子どもに会うことは、親子である以上認められあす。

別れた親としても、子どもの成長に関与しうるのが自然ですし、子どもにとっても、親との交流を通じて成長発達するという面もあります。

ただ、面接交渉も「自由に会える」というものではありません。子どもの利益、福祉という面からの制約があります。

親同士が、子どもの福祉を考え、面接方法、回数、場所などを取り決めるのが重要です。

親同士で、面接交渉の取り決めが出来ない場合、家庭裁判所へ調停の申立ができます。

その際も、子どもの福祉に適するか、次の点が判断要素となります。

①面接交渉が子ども自身に悪影響を及ぼす(暴力、奪取)。

②子どもが面接交渉を嫌がる(10歳以上)。

③親の感情的対立が激しく、面接交渉が子どもに好ましくない影響を与える。

④養育費の支払と面接交渉とは対価の関係にはありません。しかし、養育費を支払わない親は、子どもに対する養育義務をはたしていないのですから、親の権利のみを主張することは許されません。

 

第9 慰謝料

1 どのような場合に慰謝料はもらえますか。

慰謝料は、不法行為による精神的苦痛に対する損害賠償として支払われます。

夫に不貞行為、暴力であれば、不貞行為、暴力などの不法行為(個々の行為)により精神的苦痛を被りますから、慰謝料を請求できます。

また、離婚自体の慰謝料も認められています。

夫の不貞行為、暴力によって、離婚がやむを得ない状態に至った時は、妻は離婚がやむなきに至ったことについての損害の賠償として、慰謝料を請求できます。

しかし、離婚すれば慰謝料がもらえるというものではありません。慰謝料は不法行為により支払われるものですから、性格の不一致で離婚するなど、どちらが悪いとはいえないような場合には慰謝料はもらえません。

 

第10 DV

1 夫の暴力が怖くて離婚の話し合いができません。

夫からDVを受けている場合「DV法」による保護を受けられます。この保護をうけながら離婚手続きを進めることができます。

①シェルター(配偶者暴力相談センター)で、一時保護を受けることが出来ます。

②地方裁判所で、「保護命令」の申立ができます。

「保護命令」が出されますと、6ヶ月間、被害者の住居等への「つきまとい」「はいかい」が禁止されます。

また、離婚が長引いた場合など、再度、「保護命令」を申したてることも可能です。

この「保護命令」に違反すると、懲役又は罰金に処せられます。

以上

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