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親子関係に関する法律(民法・家族法)の改正部分が2026年(令和8年)4月までに施行され、適用となります!(2025年1月13日)  

民法の家族法(親子関係に関する部分)が改正され(令和6年法律第33号)、2024年(令和6年)5月から2年以内に施行され、新しく適用されることになっています。

家族法の主な改正点は、親権者、養育費の支払いの確保、親子交流、財産分与、未成年養子縁組の5点ですので、以下、順次説明します。

 

親権者に関する改正

まず、夫婦の離婚後の子の親権の取り決めに変更がありました。協議離婚においては、現行制度は、父母の一方による単独親権でしたが、施行後は、父母の協議により、共同親権か単独親権かを決めることになります。

いわゆる共同親権制度の導入ですが、なかなか難しい問題をはらんでいます。

今まで離婚事件においては、父母の離婚については、双方合意するが、子の親権をどちらにするかで揉めることが多く、家庭裁判所に対し、家事調停の申立てや離婚の訴訟を提起しなければならない場合が数多くありました。

特に、子の母の立場からすると、当事務所の経験上、親権を手放すことはおよそ考えられず、面会交流ですら拒否したいという方がいました。

面会交流については応じ、そのかわり、親権については認めて欲しいということで解決する事例も少なからずありました。

離婚に至る経過には、様々なことが発生し、離婚に際しては、それぞれの言い分が異なり、お互いに感情的になることが多いものです。

こうした事情もあり、共同親権で合意することは、現実的にはかなり難しいと思われます。

父母間で協議が整わない場合には、改正法では、家庭裁判所が共同親権か単独親権かを決めることになっています。父にDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)や子に対する虐待があることが明白な場合には、家庭裁判所も共同親権ではなく、単独親権を選択することは容易だとは思いますが、DVや虐待の事実が証拠上、はっきりしない場合等は、家庭裁判所もその判断に迷うことになります。

また、父が母に対し、共同親権を条件に離婚に応ずるという態度を取るような場合、すなわち、離婚をエサに共同親権を強要しているようなことも起こり得ましょうから、これを見抜く力も家庭裁判所に必要となります。

当事務所としては、共同親権の制度には積極的に賛成する気持ちにはなれませんが、民法に共同親権の制度が定められた以上、父母の双方とも、まず、子の意思を尊重し、共同親権で合意した場合には、子の幸福を第一に考え、子がこれからもすくすくと育っていくことを大切にし、父母共々、理性をもって対応する必要が最低限必要だと思います。

家庭裁判所が審判をするに際しては、子への虐待のおそれがある場合や、配偶者に対するDVのおそれがある場合には、単独親権としなければならなくなっていますので、これに該当する場合には、当事者の一方はそのことを強く主張する必要があります。

また、一旦単独親権を定めた場合でも、共同親権に変更する申立てを家庭裁判所にすることは可能ですし、共同親権から単独親権への変更、単独親権者の変更も同じく家庭裁判所に申立てることは可能です。

いずれにしましても、家庭裁判所の裁判官の、真実を見抜く力は、今まで以上に重要になっていますし、裁判官の判断に大きな影響力を有している家庭裁判所調査官の調査も大変重要になっています。

もっとも、共同親権になった場合でも、「子の利益のために急迫の事情があるとき」や「監護及び教育に関する日常の行為」につきましては、単独で親権を行使することができますので、父母の双方は子の福祉を優先に考え、お互いに冷静に対処することが重要です。

そして、共同親権の制度が適切に実施されるため、改正法は、「婚姻関係の有無にかかわらず、父母が子に対して負う責務があること」、「親権が子の利益のために行使されなければならないものであること」をはっきりと規定しています。

口を酸っぱくして言いますが、親権はもともと親の利益のために行使されるものではなく、子の利益(子がすくすくと幸せに育つこと)のためにあるものです。このことを改正法は明言しているのです。

当事務所の経験では、単独親権下で立派に子を育て、子も社会に出て、社会に貢献している例は数多くあります。(それは母ばかりでなく、数は少ないですが、父が単独親権者になった場合でもあります。)

要は、どれだけ子の将来に対して父母が責任を負担するか否か、あるいは、子のための親であることを忘れていないことであって、親にその気持ちがあれば、子は、たとえ親権を持たない者に対しても、その立場と心情を理解してくれるものと思います。

 

養育費に関する改正

次に、改正法は、養育費の先取特権と法定養育費制度の導入をしています。

父母が協議離婚をするに際し、養育費の取り決めをしていないことも多々あります。取り決めをしていないケースは50%以上もあるのではないかと推測されています。

養育費よりも、とにかく、早く離婚したいという母親も少なからずいますし、また、夫のDVやモラハラにより、養育費自体問題にできない場合もあります。

法定養育費制度の内容は次のとおりです。

 

「父母が子の養育費の定めをしないで離婚した場合、離婚時から引き続き子の監護(養育)を主として行う父または母は、他の一方に対し、離婚の日から、父母がその協議により、子の監護に関する費用の分担についての定めをした日、または、子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日、または、子が成年に達した日のいずれか早い日までの間、毎月末に、子の監護費用の分担として、子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額等を勘案して、子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額(法定養育費)の支払い請求ができる。」です。

 

そして、この法定養育費には、先取特権が認められており、父または母の賃金等の収入から優先的に支払いを受けることができるようになっています。

 

親子関係に関する改正

また、父母の離婚が成立していない場合であって、子が別居中の父母の一方のところで生活している場合の親子の交流についても、改正法は、親子交流の規律を新設しました。

従来、最高裁判所は、別居親と子との交流について、民法766条の規定を類推適用することを認める判断をしており(最高裁平成12年5月1日決定)、各地の家庭裁判所もこの決定に従い、親子交流についての調停や審判をしてきました。

改正法は、「子と別居する父又は母その他の親族と当該子との交流について必要な事項は父母の協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とし、別居している父母間で協議ができない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めること

とされました。

なお、この改正法では、父母以外の親族(例えば祖父母)による子との交流の申立権も認められていますので、留意が必要です。

さらに、改正家事事件手続法では、親子交流の試行的実施に関する規律の新設もなされています。

従来、調停成立前または審判前の段階で、親子の試行的面会交流はなされてきましたが、今回はこのことが法文で明確化されました。

家庭裁判所調査官は、試行的面会における子の心身の状況を十分に観察し、その上で、調査書を作成し、裁判官もこれを尊重していましたので、これらのことが制度的にも法律で認められたことになります。

試行的面会交流があまり良くいかない時には、離婚前の親子間の交流も認められないこともありますので、この制度は重要です。

 

財産分与に関する改正

財産分与請求権の内容も、より明確にされ、その行使期間も改正法によって変更されることになりました。改正民法は、「財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議することができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。たし、離婚の時から5年を経過したときは、この限りでない。」と規定しています。

このように、財産分与の請求期間は、離婚の時から5年となり、従来の2年を変更し、長期化させています。

そして、財産分与請求権の内容についても、従来の確立された実務を確認し、法文上も次のとおり明確にされました。

「家庭裁判所は、離婚後の当事者の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。」

 

養子縁組に関する改正

最後に、養子縁組がなされた場合の親権者の明確化、未成年養子縁組の代諾に関する規律の見直しもされています。

まず、養子縁組のされた場合、親権者が誰であるかが明確にされました。

現在は、子が養子である時は、養親の親権に服するとなっていますが、現行法では、1人が複数の人と養子縁組をすることを認めていますので、誰が親権者か問題になりますが、今回の改正法は、「養子縁組が2つ以上あるときは、直近の養子縁組により養親となった者に親権がある」とされています。

また、いわゆる連れ子養子(母が父と離婚し、その後、他の男性と婚姻し、子がその男性と養子縁組する場合)の場合も、養親である母の再婚相手の男性と、その配偶者である母に親権があるとされました。

また、従来、養子となる者が15才未満である場合には、法定代理人である父母が代諾する制度になっていましたが、父母の意見が対立すると養子縁組もできない場合が生じました。

この事態を避けるために、改正法は、養子となる者の法定代理人の請求により、家庭裁判所が、子の利益のため、特に必要であるときは、その同意に代わる許可を与える審判ができるとし、父母の対立により、養子縁組ができないことを避けています。

 

以上、共同親権導入等の主要な改正点について説明しました。

 

50年以上の歴史を有する当事務所は、離婚、面会交流等の夫婦、親子に関する法律問題を数多く取り扱い、解決してきました。

離婚問題等でお悩みの方はお気軽に当事務所にご相談下さい。

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